勤務医(病院や診療所などに勤務している医師。病院などを自ら経営する開業医に対し、雇用されている医師)は会社員や公務員と同様に、60歳または65歳で定年を迎える。
しかしなかには、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明氏のように、105歳を過ぎてもなお医療の現場で活躍する人もいる。
たしかに医師免許には高齢による返納義務は設定されていないが、医師が高齢であればあるほど、患者にとって最高な治療をしてもらえるのかと言ったら、そうはいかないのが現状である。
そして開業医であれば、定年もなくいつまでも医者を続けることができる。
ある有名人が、テレビ番組内の健康診断で「乳がん発見」なんていうのを見ていたら、
先日、職場で乳がん検診を受けた時の、な~んとも言えない奥歯にものがはさまりすぎたような不信感を抱いてしまったことを思い出した。
乳がん検診の際はまず医師による視触診を受けるのが普通。
実は医師不足などの理由により、この視触診を省こうという意見もあるようだが、まったくもって、すっとこどっこいな意見である。
視触診を受ける時は、上半身裸になって乳やわきの下を念入りに探られる。
いくつになっても少し抵抗ある検査だが、写真や超音波では分からない乳頭からの分泌物を発見できたり、比較的若い人の乳腺は密度が高いから、マンモグラフィーだけでは分からない病変が分かることもある。
視触診・マンモグラフィー・エコー検査を組み合わせることによって、一つの検査を受けるよりも乳がんの発見率が高くなるため、今のところ何の異常もない人は、マンモグラフィーとエコー検査を一年おきに受けるのが良いらしい。
自分は高校生の時、乳腺繊維腺腫という2cm位のしこりが右胸の右上にあって、局所麻酔の30分くらいのオペでそれを切除してもらった覚えがある。
傷口は2cmにも満たないもので、今となっては何一つ困ることはないのだが、若かりし頃の自分は、辛い気分で満ち溢れていたのを今でも思い出す。
それと同時に、乳腺疾患があった自分は外科で診てもらう機会が多かったので、今までの外科医(女性も男性も変わらず)の視触診をよく覚えている。
無言で指先に神経を集中させた医師が、まずは座った状態であらゆる角度から乳に触れ、わきの下もぐりぐりと探り、次は仰向けになり、両手をばんざいさせられた状態で、さらに乳とわきの下を入念に探る、といった感じ。
そして今回一番訴えたかったのは、
職場で視触診・マンモグラフィー検査を受けたのだが、その健診にきていた医師のことである。
あきらかにお世辞でも75歳にしか見えない80過ぎのお爺さん先生。
現役を引退した開業医が、小遣い稼ぎ(と言っても一日で普通仕事量のパートさんの月給位)で来ているのであろうと思われるのだが、
おじいちゃん、たかがちょんちょんちょんって触っただけで、いったい乳の何が分かるというんだ?それで分かるような病変だったら、自分でとっくに気づいとるわっ!気でも出しとるんかっ?
服や下着を外す支度をしている時間の方が長かったと思われる位の、まさに神業超特急視触診。
片乳10回弱、さわさわっとしただけ。
『健康ですっ!ふがふが』
安易な雄叫びをあげるおじいちゃん。
おいおい( ̄▽ ̄;)
う~ん、何をもっての健康宣言なんだろう。
いいや、マンモグラフィーにかけよう・・・
そして何もなかったら、来年はエコー受けようっと。
いくつになってもお医者様には変わらないが、自分の限界を素直に認め、潔く引退するということが、何より患者のことを一番に考えてくださるお医者様としての、最高の手段だと思った今日この頃。