うだるような暑さの中、無事帰宅できた。うさぎ達もさぞかし暑いだろうに。
どれどれ、部屋を覗いてみると…
クーラーがついているので、みな静かに横たわっている。ちび達は、ケージのロフトの上に2羽、下に3羽が川の字になって寝そべっていた。端に寝ていたちびが、真ん中のちびの背中の上に足を乗せて寝ている姿が、人間っぽくて思わず吹いてしまった。
うさぎ父は近づくと、なでて下さいアピール。扉の柵に前足をかけ、大きい黒い瞳でじーっと自分を見つめる。
『よしよし、お前さんは本当にいい子だなぁ。』
扉を開けると、フローリングの床が冷たくて気持ち良いらしく、腹ばいで細長くなっている。
父を撫でながら、うさぎ母と赤ちゃんを見てみると。
ふわふわでまるまるとしてきた赤ちゃんだが、まだ片手ほどの大きさ。
それを母は、枕にして寝ている。
『んっ、それでいいの?おかあさん。』聞いてはみたけど、何食わぬ顔で鼻をピクピク。まぁ、赤ちゃんも細目でうとうとしているから、辛くはないんだろうなぁ、と勝手に解釈してしまったが。
立て続けに赤ちゃんが産まれたので、5羽のちび達は少し気の毒。
母と一緒に外に出していても、母がものすごい剣幕でちび達を追いかける。
じゃれあってるのとは少し違う気がするな。子等が怯えているようだから。
別にこのちび達が、赤ちゃんをいじめるわけではないのにな。
それにひきかえ、1羽の赤ちゃんへの溺愛ぶりといったら、それはそれは。
自分の子供を枕にしてしまうのに、普段はほとんど母が赤ちゃんに近づき、この暑い中寄り添っている。赤ちゃんが少し移動しようものなら、前足を赤ちゃんの上に乗せて、抱きよせるような仕草で、離さない。少しはこの愛情を、先に生まれたちび達にも分けてあげてもらいたいものだ。
『母さん、ちび達にも少しは優しくしてやってくださいよぉ。』
お願いしてみたけれど、聞く耳もたずらしい。大きい耳があるくせに。
散策を終えた父さんが戻ってきて、ちび達のケージの前に寝そべった。
父は、ちび達と一緒に出ていても、静かに面倒を見てくれる。母さんは子育てで気が立っているけど、父さんはいつでも穏やかで優しい。ケージの中のちび達を、柵に前足をかけ身を乗り出して確認する父の姿に、感心した。
少し前までは・・・五羽のちびと母