普段から独り言が多くて一応は気をつけている。
しかも声が大きいらしい。
はっと我にかえる。誰にも聞かれていなくて良かったとほっとする。
聞かれていることも多々あるが。
「ふふっ。」「あっ!」「はぁ~あ…」「大丈夫、大丈夫。」
特に失敗した事や万事休すの出来事が、頭の中のスクリーンで短編ストーリーとして再生される。
それは仕事の合間であろうが、お使いの途中であろうが、入浴中であろうがお構いなし。
何食わぬ顔でてくてくと歩いていても、頭の中ではたべこシアターが上映中なのである。
上映回数第一位は
もう15年位前、娘二人が小学生の時の話。
車で30分くらいのところにある森林公園で、娘たちとむきになってバトミントンをしていたら、一瞬にして娘たちが見えなくなり、そのかわり青空だけが見えた。
夢中になっていたら、へこみに足をとられてそのまま後ろに倒れてしまったのだ。
特に怪我もなく、どじな母さんでその場は済んだのだが、帰りの車中で旦那が、
「落ちている枝が刺さらないで良かったな。転んだところに大きい石でもあったら大変なことになってたかもしれないぞ。」
笑いながら言ってた。
『えっ⁉・・・』
血の気が引いた。
旦那め、余計なことを言いやがってといまだに思う。
思い出すたびに眉間にしわがよっていて、『あー、よかった。無事で。』
とつぶやいてしまう。
仕事時の「よしっ。」「こうやって、次はこれをして。」
なんていう独り言を、作業するたびに口に出す人も職場にいるけれど、間違えないように再確認しながら頑張っているんだろうな。
テレビのニュースやドキュメンタリー番組を見ていると自然に、
「なんだ、こいつはっ!」 「がんばれっ!」「それは違うぞ。」
なんて真剣になって声に出してしまう。
周りの家族も「へぇー。」「あ~。」とかの感嘆詞は発しているけど、自分のように熱くなる者はいない。
いずれにせよ傍から聞いている人は、あまりいい気分じゃないんだろうな。
だって、耳障りだもんね。
まぁ、外では気を付けるが《感受性の高い人間なんだな》と思ってくださいとしか言いようがない。
「あー、痛い。」「疲れた~。」などの自己主張の独り言では決してない。
こういう人は、他人に「大丈夫?」と気にかけてもらいたいタイプなんだろう。
でもこういう人は、一回の「大丈夫?」じゃ済まない場合があるから、少し面倒?
自分は心配してもらいたいとか、人の気を引きたいとかじゃない。
だって、他人には聞かれたくないのだから。
フラッシュバックというのか分からないけど、嫌なことを思い出して独り言を言うのは、もしかして精神疾患があるのか?
でも、独り言をまた自分の耳から聞いて、自然と精神の負担を軽くしているんだろうな。暗示みたいなものか。
ただし、知人が【うつ病】になってしまった時は、ため息が多くなり、急に大きな声で怒り出したり、ネガティブな独り言があったりで、自分も紙一重なんじゃないかと不安になり、娘には冗談交じりで、《もしおかしなことがあったら、自分の意志は無視して医者に連れて行ってくれ。》とお願いしている。
なんでも聞いてくれる大きなお耳