相変わらずの赤ちゃん顔。
化粧っ気のない、おかっぱ頭。
でも、背は自分や長女よりも高い。
二ヶ月振りに二女に会いに行った。
駅を出て、お相撲さんの横を通りすがり、少し歩くと娘の住処がある。
ベランダからスカイツリーが見える。
大家さんが最上階に住んでいて、時々訪ねて来てくれては、世話を焼いてくれるらしい。
二女は今年度から、東京で料理人として勤めている。
まだまだ、見習いに過ぎないが、まかないを作る順番がまわってくるそうで、二人一組で作るまかないを、娘はひたすら点心専門で作っているらしい。
『一ヶ月もしないで辞めちゃうんだろうな。』
なんて、家族みんなで笑っていたけど、予想に反してまだまじめに勤めに行っている。
長女と母と自分でお上りさんツアーを決行したわけだが、今回は二女も連れて、久々に家族四人で新宿に行ってみた。
混雑しているところを嫌っていた二女が、この数カ月で東京に慣らされてしまったのだ。まぁ、慣れなくてはやっていけないだろうけど。
とにかくあちこちと出向いた結果、普段から歩いている自分でさえも疲れてしまったが、母はへっちゃらのご様子。
自分は運動量より、人で疲れてしまった。
歩く子供の後ろ姿を見ていたら、ふと過去の思い出が…
二女が小1の時 、学校へ着いたか着かないかくらいの時間に、玄関の向こうから大泣き声が聞こえた。慌てて開けると、そこにはここにいるはずのない娘。
『どうしたっ!?』
何があったのかと、血の気がひいたのを今でも覚えている。
『あたまがいたぁーいっ。うわぁーん。』
それしか言わない娘。
見たところ外傷もないが、大慌てで脳外科へ。
『これだけ、レントゲン撮るの嫌がって泣けるのだから、様子みましょう。急変したら連絡下さい。』
帰宅した後も特に変わりはなく、ほっと一安心。でも、二、三日は何か症状が出てしまわないかと、ヒヤヒヤしていた。
最近は子供でも何でも、CTやらレントゲンを撮るらしいが、ちょっと昔はそんな事なかったと思う。
数分間の回想からふと覚め、背後から
『○○ちゃーん、小1の時、頭が痛くて帰ってきたの覚えてる?』
『あぁ、あれね。』
覚えているらしい。
『あの時は、本当に心配したんだよ。』
…『だって、あれ嘘だもん。』
『はぁっ!?何でよぉ、何であんな嘘ついたん!?』
『何でだろうね?何か嫌なことでもあったんじゃない?』
《このぉ〜、十数年間の心配を返せっ‼︎》
と、思ったのと同時に、
《あぁ、あの時の小さかった娘は、頭痛くなかったんだ。良かった。》
という気持ちになった。
独り立ちをした彼女。
会うのは簡単だけれども、どうしても別れ際が切なくて。
うらやましい限り仲良し親子