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20代で甲状腺がんになってしまった女。その1

長女3才直前、二女1才半の時、

甲状腺がんの手術を受けた。

 

もう20年近く前の話だけれど、風呂上がりに、首の下の方にうっすら残る、シワとは少し違う傷跡を見て思い出した。

 

気付いたのは

風呂で首を洗っている時、左の喉仏辺りに、右側にはない骨のような硬い物を感じた。

 

『えっ?!』

石鹸のついた両手で、首を触りまくった。

明らかに左右違う。

右には無いものが左にはあった。

 

それは、唾を飲み込むと喉仏と一緒に動く。

指で動かそうと思って強めに触っても、ビクともしなかった。

 

翌日近所にある病院へ

最初は内科へ受診した。

触診する男の先生の顔が少し怖い顔になる。

中学生の頃から、心配性だった自分。

そこに居合わせた人全員に聞こえてしまうんじゃないかというくらい、心臓の鼓動が早く大きく打っていた。

 

『先生何なんですか?まさか、ガンじゃないですよね?』

先生は、少し焦ったような怒ったような感じで、

『詳しく検査してみないと分からないよー。外科でまた診てもらって。』

 

その日のうちに外科の診察を受けることに。

年食った今思えば、その日のうちに違う科にまわされるなんて、深刻なことだからだった。

 

診察時や検査時は、まだ、宇宙人のような二人っ子のことを、看護婦(看護師)さんが面倒を見てくれて、大変有り難かった。

さすが、白衣の天使。

その時の自分には、決して言い過ぎではない例えだと思った。

 

優しい看護婦さん達と遊ぶ、あまり人見知りをしない無邪気な二人を見ているのと同時に、

《この子達と、この先一緒にいられなくなってしまうかもしれない?》

時が止まって、背後から得体の知れない何かに吸い込まれるような感覚に陥った。

少しの間、自分が自分ではなくなってしまったのだ。

茫然自失。

 

診察台に横になり、涙が出そうになった時、少し気分の紛れるような外見の外科の先生が現れ、首の謎の物体に注射器をを刺して、細胞を吸い採る【細胞診】をして、その後採血を済ませて、やっとその日は終わり。

大げさになると嫌なので、旦那にはさらっと言っただけで終わりにした。

 

また1週間も経たないうちに病院へ

その日はエコーとCTを受けた。

検査技師が、『よく写っているから。』

と言ったのが妙に引っかかった。

そして、数日後にはMRI検査もした。

じーっと横たわり検査を受けている姿は、【まな板の上の鯉】という表現が一番近いかと。

不安と絶望感を生むには絶好の機会だった。

 

全ての結果が出るまでは、当たり前のことだが気が気ではなかった。

現在のように、インターネットで何でも調べられる環境ではなかったので、本屋に出かけては、医学書を読み漁っていた。

「がん細胞が反回神経に浸潤すると、嗄声(かすれ声)になる。」

 ※反回神経は、声帯の動きを調節する働きがあり、声を出したり、息をする際に機能する。 

 

 

引用:のどの病名専科:2.喉頭(こうとう)と声帯(せいたい)の病気 株式会社龍角散

 

そんな文献を見た帰り道は、車の中で大声で歌い、毎回自分の声を確かめた。

『まだ、平気だな。』

そう自分に言い聞かせながらも、心のもやは晴れることはなかった。

 

つづく

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