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20代で甲状腺がんになってしまった女。その7

日常へ

10日間の入院生活が終わった。

傷口をかばっている頸のこりが頭痛となり、長時間は起きていられなかったが、なんとか助けを借りずとも、日々を送れていた。

とにかく子供たちの元へ戻れたことがうれしかった。

 

声はというと相変わらずの嗄声(かすれ声)で、しゃべる息もあまり長く続かないから、会う人会う人にしなくてはならない説明が面倒で、知り合いに会うのが億劫だった。

しかし、子供たちを遊ばせたり、買い物をするためには外へ出なければならないので、仕方なく外出しているうちには、界隈にほぼ知れ渡った。ただ、甲状腺の病気で手術したというだけで、それ以上の事は言っていない。

 

自分もまさかとは思っていたが、声が出てきているような気がしていたが、診察へ行く度に先生は「変わってないんじゃないの?」と言った。先生的には、声は戻らないと踏んでいたんだと思う。

しかし、看護師さんは「たべこさん、声出るようになってない?」と言ってくれた。

さすが、看護師さん。患者をよく見ている。

耳鼻科へ行って、声帯を見てもらったら、右の声帯が左をカバーするかのごとく頑張ってくれているらしく、術後3ヶ月後には声が戻ってきた。

 

病理診断

退院後二週間で外科外来へ受診。

手術の際に切りとった病理の結果は《低分化型乳頭がん》。

通常若い人にというか、甲状腺がんで一番多いのは《乳頭がん》なのだが、自分の場合は少し低分化の細胞(ちょっと厄介)が混じっていたらしい。

今後の治療法はというと、数か月ごとの診察(日が経つにつれ、どんどん間隔が長くなっていく)と採血。そして、残っている甲状腺の中に万が一、取り切れなかったがん細胞があった場合、それを刺激しないために、チラージン50mgを日に朝一錠飲み続けるだけ。

 

その頃は今みたいに、【インフォームドコンセント】や【告知】などうるさくなかったし、自分も若かったので、流されるままというか、先生のおっしゃる通り的な感じだった。

インフォームド・コンセント

〈十分に知らされた上での同意〉,〈説明と同意〉。患者が医師から,病気の内容,治療法,治る確率やその治療法の問題点,危険性などを詳しく知らされ,患者が納得してから治療を受けること。

 

インフォームド・コンセント(いんふーむど・こんせんと)とは - コトバンク

 

パニック障害

元々心配性の上に不定愁訴があったので、その都度病院へかかっていた自分。

毎回、《特にどこも悪くありませんよ。》と今までセーフだったのに、セーフでなかった事態《甲状腺がん》が起こったことにより、さらに医療機関へ行く機会が多くなってしまった。

 

酒を飲んでいるわけではないのに、ふわふわした感じで歩くのが大変だったり、急激な動悸が起ることが多くなり、それは運転中だろうがじっとしている時だろうが容赦なく襲ってきた。死んでしまうのでは!?

そこで手術を受けた病院の内科に行ってみた。

症状を説明すると、女医さんが「私の後輩に心療内科を診ている先生がいるから、一度行ってみたら?」と。

『心療内科?』

今ではよく聞く言葉だが、当時の自分には思いつかない診療科だった。

 

そこでは一週間に一度カウンセリングらしきものをうけ、薬をもらう。

といった治療を続けること三年。頓服薬を持たずにも外出できるまで回復した。

十数年後の現在も、強い症状は出ない。(ふわふわ感や何となくだるいといった症状はあるが、多分これは年齢的なもの)

もちろん心療内科にも通院していないから薬も飲んでいない。

現在治療中の方は、《治せる》という事実を知ってもらって、なるべくゆったりとした気持ちで(なかなか難しいとは思いますが)過ごしてほしい。

 

現在

甲状腺がんを改めて調べてみたら、結構なことが書いてある。

30年前に手術した甲状腺がんが再発して肺に転移だの、骨転移だの・・・

また、これを心配しだすとキリがないので程々にしておく。

 

自分は手術を受けてから、もう20年くらい経つ。もう治ったということでいいんじゃないかと、薬も飲まなくなって5年以上経つなぁ。

二年に一度くらいエコーしたり、MRIしてみたりと適当になってしまった。

完治とみなされているようだが、不安はいつまでたっても拭いきれないのである。

皆様も、少しでも不安な症状があったら後伸ばしせず、医療機関へ。

仕事や用事のほんの少しの合間にでも、行くチャンスがあるはず。

安心するって大事ですよ。

すべてが明るく見えてくる。

 

 

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