20代若者:平均1.9秒
70代高齢者:平均1.2秒
何の数字かというと、対向車の切れ目を見計らって右折する時、迫ってくる対向車と衝突するまで、何秒の余裕があるかという判断の時間。
その差わずか0.7秒だが、距離に置き換えると時速60㎞走行時、高齢者は若者よりも対向車が12メートルも近くなってから、右折していることになる。
高齢者の運転能力の衰え
有効視野の変化
真正面を向いて、片目で左右90度の範囲で物が見えることが望ましいが、65歳を過ぎると60度くらいに狭くなってしまう人が多いらしい。
出典:運転し続けたい ~高齢ドライバー事故の対策最前線~ - NHK クローズアップ現代+
反応動作に関する特性
単純な作業課題であれば、若者と比べて大きな反応時間の遅れはないが、
複数(歩行者・信号・その他確認)の作業課題を同時に扱う場合に問題が生じる。
アクセルとブレーキの踏み間違いや、自転車や歩行者を発見したとしても、
「飛び出してこないだろう。」「避けてくれるだろう。」と漫然と運転をする傾向にある。
運転能力に関する過信
長年の経験から、交通規則よりも自分の経験を重視してしまっている。
60歳後半からぐっと増えている。
出典:運転し続けたい ~高齢ドライバー事故の対策最前線~ - NHK クローズアップ現代+
免許を返納?
ある年齢に達したら、免許証を返納する法律を作ってしまうのはどうか?
なんて短絡的に思ってしまうが、そうはいかないのが現状である。
- 老々介護(65歳以上の要介護者等を65歳以上の者が介護すること)が増えていく中、車なしでは生活(自宅から近い場所にスーパーや病院がない)が成り立たない人も多い。
- 仕事を定年退職した人達にとって、車の運転ができるという事は、社会から認められている証を持っているようなものだから、それさえ返納することになってしまうとなると自信喪失につながってしまう。
- 認知症の前段階で免許を取り上げてしまうと、認知機能が急激に低下してしまい、重篤な認知症になってしまうリスクが高い。
認知症高齢者が認知症高齢者を介護する認認介護の世帯もある。
認知症であっても日常生活が送れるために介護申請をしていない高齢者が、同居の認知症高齢者の介護をしているということも予想されるため、要介護申請がされていないと、実際の老々介護世帯の正確な人数が把握できないというのが現状。
政府の取り組み
高齢ドライバー70歳以上の人は、運転免許更新時の高齢者講習が、75歳以上の人は高齢者講習の前に講習予備検査(認知機能)も義務付けられている。
検査の結果、記憶力・判断力が低くなっていると診断されてしまっても、免許の更新はできるが、更新の前後に特定の違反を行っていた場合は警察から連絡があり、専門医の診察を受けるか主治医の診察を受け、認知症と診断された場合は免許が取り消される仕組みになっている。
しかし、死傷者が出ているのは事実であり、政府にはいち早い対応をしてもらいたい。
高齢者へ免許証の自主返納を勧めているようだが、なかなか浸透していないのが現状。
高齢者が安心して免許を手放すことが出来る生活環境を整えることが、一番の交通安全への近道か?