母の姉、いわゆる自分のおばちゃんが自分の勤める病院に入院している。
これまでも入退院を繰り返してはいたが、自分の畑の世話をしたり、地域の役員をしたりと、家に戻ればそれなりに活動的だった。が、定期的に受けていた治療を今回は断った結果、病魔は瞬く間におばちゃんの肝臓を支配した。
足がむくんで治らないと入院して、一週間ほどである程度治まったので退院したのも束の間、日中一人のおばちゃんは身動きが取れなくなってしまい、かかりつけの医院に相談して再入院させてもらった。
8月の下旬に入院したが、日を追うごとに苦悶の表情が増えていた。仕事の合間に様子を伺いに行ってはみるものの、自分の問いかけに返事をしてくれなくなったのは、再入院して日ならずしてだった。
ある程度動揺を抑えられるようにと、母にも今回ばかりは深刻な病状を説明した。
車には乗れない母だが、ありがたいことに身体は頑丈で、自転車で通える距離にある病院にはお使いついでにふらっと立ち寄っていたらしいが、さらにまめに通うようになった。
今日は仕事が休みだった長女が、食材を買い出しに行こうと迎えに来てくれたので、二人でおばちゃんのところへ見舞いに行った。
フェントステープ(麻薬:強い鎮痛効果がある)を貼っていても痛みは取れないらしいおばちゃんは、時折小さい唸り声をあげていた。
『また明日来るよ』とおばちゃんに声をかけ、夜勤帯の初々しく頑張っているナースに一言挨拶して病室を出た。
おばちゃんの病状が深刻になってきた頃からというものの、ふと夜中に目が覚め、必死に頑張っているおばちゃんを思う。
帰宅して、母におばちゃんの様子を伝えたところ、母は今日もおばちゃんのところへ行ったらしい。
『頑張っている。姉御はよく頑張っている』と発した、お世辞にも性格が良いとは言えないおばちゃんと五歳違いの母の言葉に切なくなった。