無痛分娩を選ぶ人も珍しくなくなってきた一方、出産は『痛い思いをして産むことでわが子に愛情がわく』という先人たちの価値観に縛られ、『きちんと産めなかった』と自分を責めてしまう女性がいる。
自力で産めなかった後悔や、義理の母から責められるなど、いまだに【自然分娩崇拝説】が根強く残っているからであろう。
しかし、どんな方法で出産しようと、お産は命がけなのだ。
お産が長引き、医師から帝王切開を勧められてもなお、下から産むことにこだわった結果、死産や産まれてきた赤ちゃんに後遺症が残る、またはお母さんも亡くなってしまうということもある。
当たり前の話だが、お産は母子ともに健やかなことが最高な結果なわけだから、それを達成すべくお母さんが一生懸命に選んだ出産方法を、他者がとやかく言ってはならないのである。
例えば、心臓などに持病がある産婦が無痛分娩を選ぶことにより、痛みからくるストレスを軽減できることで安全性が高まる。そして、たとえ何も疾患がない産婦だとしても、痛みや恐怖からくる陣痛時の過換気から、赤ちゃんに送る酸素が減ってしまうのを防ぐこともできる。
自然分娩ではなかったお母ちゃんに、「あの痛みを知らないんだ」なんて心無い言葉を投げかける人に一言。
『お母ちゃんが痛みにのたうち回って下から産んだ子すべてが、大事に育てられているか?真っ当な人生を歩めているか?と言えば、決してそうではないでしょ。
帝王切開だろうが無痛分娩だろうが、一番の肝は産んだ後の話。
命がけで世の中に送り出した大事な命を、心身ともにどう健やかに育てられるかだ。』