仕事終わりのいつもの帰り道、公園の横を通り過ぎた時目に付いたのは、ブランコで遊ぶ若いお父さんと二人の子供達。
お父さんにもっと漕いでとせがむ二人に、嬉しそうに力を入れてブランコを押し出しすお父さん。
そんな親子の姿を見ていたら…
わが家の娘二人がまだ、小学校にあがる前の話。
家族で遊園地に出かけた昼食時、食欲よりも遊びたい気持ちが勝ってブランコをこぎだした娘達。
自分達は少し離れたところで昼食をとりながら、遊ぶ娘達を眺めていた。
すると聞き覚えのある良く通る大きな声が・・・
『お母ちゃんはブランコに乗って一周した事があるんだよね〜っ!』
『そうだよっ!お母ちゃんはグル〜って回れるんだよねぇ〜。』
…ん?何だって?
娘達の元へ行って聞き直す。
自分:『何を楽しそうに話してたの?』
二女:『お母ちゃんが、ブランコこぐのがすごい話〜。』
自分:『あぁねぇ〜。ブランコのことねぇ〜。』
長女:『だってお母ちゃん、出来るんでしょう?ぐるぐる回るやつ。』
自分:『そっ、そうだよぉ、二人が生まれてくる前はできたよ。』
・・・なんて適当なことを言ってしまったんだろう。
ビビリの自分は、幼い頃から一回転するなんて滅相も無いし、90度になることすら出来なかったと思う。
ましてや現在に至っては、45度ですら危うい。というか、ブランコ自体に乗れない。
やれやれと子供との会話を切り上げ、反省しつつ席へ戻る。
たぶん、というか絶対子供が喜んでくれるだろうなとついてしまった嘘だが、自分の後をついてきて一部始終聞いていた旦那は、
『またお前はそんないい加減なこと言ったのか。』
と言いながら、こらえきれずに笑っていた。
ふっ。
少しの間、十数年前にタイムスリップしていた自分。
その時の出来事を今でも鮮明に覚えている。
回想しているうちにわが家へとたどり着いた。
道中通りすがりの人達は、にやにやしているおばさんをさぞかし不審に思ったろうな。
何はともあれ、わが家の方針は「いつも楽しく。」
家族全員がいかにどれだけ、楽しく笑いながら過ごせるか。
欲を言えば、周りの人たちもどれだけ笑顔にさせることができるか。
現在大きくなった二人の娘達にも、このブランコ事件でついてしまった嘘は鼻で笑われてしまうレベルなので一安心。
他人は首をかしげてしまうような些細な事でも、自分が好きな笑いの感覚を共有できる二人の仲間が増えたことは、大変うれしく思う。