世界平和度指数
シンクタンク「インスティテュート・フォー・エコノミクス・アンド・ピース(Institute for Economics and Peace)」は、世界163カ国を対象に、殺人率や政治テロ、内戦による死者数といった23の観点で、その国の平和度を評価し、ランキングを作成した。
出典:世界平和度指数、台湾はアジア5位 : Taiwan Today
緑が濃いほど平和なことを示し、赤が濃いほど平和から遠いことを示す。
評価ポイント 調査方法
指標(一部抜粋)
・対外戦、内戦の数
・対外戦、内戦による推定死者数
・人口に対する難民、追放者の割合
・政治的不安定さ
・テロ活動の潜在的可能性
・殺人事件の数
・暴力犯罪の程度
・暴動の可能性
・犯罪収容者の数
・警察、治安維持部隊の数
・軍人の数
・普通一般兵器の輸出入量
・重兵器の数
・小型武器、携帯兵器の入手しやすさ
・軍事力、精錬度
評価ポイント
数値データを、次の数式で5段階評価に変換する。
ある指標について、その国(地域)の点数がx、リスト中の最小値がMin(x)、最大値がMax(x)だった場合、評価ポイントを、 評価ポイント = (x-Min(x))/(Max(x)-Min(x)) で計算する。評価ポイントは0~1のいずれかになるので、これを5段階に変換する。
そこに、調査チームが重要度を判定した重みが付けられて、さらに、内的状況には0.6、外的状況には0.4を掛けた後、総合点を算出している。
治安が悪い危険な国ランキング
世界で最も安全な国が西側諸国や東アジアの先進国に集中する一方で、最も危険な国はアフリカや中東に多い。
貧困や戦争が最大の原因になっている。
2018年のランキングでは、7年にわたり内戦の続くシリアが世界で最も危険な国となった。戦争によって破壊されたイラクやアフガニスタンといった国がそれに続く。
国 ・地域別の海外安全情報 *2018年11月現在
以下、世界で最も危険な国トップ5。
国名の隣に並記した数字(ポイント)は、大きいほどその国が安全でないことを示している。
ちなみに、安全な国第1位のアイスランドは1.096。
第1位:シリア 3.60 point
シリア国内では,ISIL(イラク・レバントのイスラム国)等イスラム過激派、反政府勢力、クルド勢力及びシリア軍・治安当局等の間でそれぞれの勢力が入り乱れて衝突しており、全土で多数の死傷者が発生。
シリア北西部から北東部にかけての地域では様々な勢力が衝突している。
仮に同地域に入域した場合、戦闘に巻き込まれる蓋然性が高く、ISILなどの過激派組織等に誘拐・拘束されるおそれもあり非常に危険。
主な争いの原因は?
政府軍と国民が宗教の問題で対立した。
シリアの主な宗教は、 スンニ派74%・アラウィ派16% ・東方正教会10% と3つに分かれている。
シリアの大統領はアサド大統領で、親子二代に渡って独裁的な政治が続いていて問題化している。アラウィ派は国民の2割弱と言われる少数派の宗教だが、アサド大統領がイスラム教アラウィ派に所属しているため、その2割の人は様々な優遇措置を受ける事が出来ている。
しかし、そんな不公平な優遇に国民は怒り爆発。
2割の国民への優遇措置は、残った宗派であるスンニ派たちが主に負担するという不公平な状態が、争いの原因となっている。
破壊の跡を眺める少年
暖房用の木材を探す子どもたち
シリア・日本人口
紛争開始から7年が経過し、8年目を迎えるシリア危機。
シリアでは、170万人の子どもたちが学校に通えていない。
また、周辺国に避難した53万人の子どもたちが学校に通えずにいる。そして、シリア国内にある学校のおよそ3校に1校は破壊、損壊、避難民の避難所、もしくは軍によって占拠されるなどして、学校として使用出来ない状況。
通りを走るロシア軍の戦車
出典:シリア 瓦礫になった街で生きる – 世界を視るフォトジャーナリズム月刊誌DAYS JAPAN
第2位:アフガニスタン 3.585 point
タリバン等の反政府武装勢力によるテロ・襲撃等が多発していて、一般市民や外国人も巻き込まれる事件が相次いでいる。
全土でロケット弾・迫撃砲が一度に複数着弾するケースが多く、更に、標的から外れて着弾することもあり、巻き込まれて被害を受ける危険性がある。
政治目的・身代金目的・個人的恨み等、様々な理由で外国人が誘拐されるリスクが高い。
各地の情勢は極めて不安定な状態で、一見平穏な場所でも、いつでも情勢が急変する可能性がある。
学校に通っていない子どもの60%を占めるのは女の子で、彼女たちは不利な立場に置かれるだけでなく、性別による差別も受けている。
ビビ・アイシャ
アフガニスタンで生まれた彼女は、家族が犯してしまった罪を解決する為の策として、好きでもない男性と強制的に結婚させられた。
結婚した当初、夫は戦地に赴いていて留守だったが、夫10人の兄弟と共同生活を送ることになった彼女に、兄弟たちは日々虐待を続けた。堪えられず2年後逃げ出したが、途中で捕らえられ投獄された。
アフガニスタンを支配しているタリバンの法律では、女性が嫁ぎ先から逃げ出すことは、重大な犯罪行為であったが、恩赦により彼女は嫁ぎ先に戻った。
しかし、怒った夫によりタリバンの法廷で裁判にかけられ出た判決は、「この女の耳や鼻をそぎ落とせ!」 だった。
彼女は、夫に山の中へ連れていかれると、耳、鼻をそぎ落とされ、血だらけのまま放置されたが、アフガニスタンの女性保護団体に保護され、鼻、耳がないまま暮していた。
この時アメリカは、敵をイラクからアフガニスタンへと変更しはじめていた為、タリバンの蛮行を世界に伝えようとしていたところ、アメリカの「タイム誌」が彼女の写真を表紙に載せたのだ。
その後、心ある人たちの援助によって、アメリカで鼻と耳の修復手術を行い、無事に顔を取り戻した。
第3位:南スーダン 3.508 point
南スーダンは2011年にスーダンから分離・独立したが、13年から内戦状態に陥った。
ユニセフによれば、約1万9000人の子どもが政府軍や反政府勢力の戦闘員にさせられている。
出典:少年兵を武装解除 南スーダン = 社会 - 写真 - goo ニュース
出典:www.cnn.co.jp
内戦状態が続く南スーダンで4月、武装勢力の戦闘員にさせられていた子ども200人以上が解放された。同国南西部のヤンビオで武装解除の式典が開催され、男子112人・女子75人が自由の身となった。
最年少の子どもは14歳だった。
ユニセフは今年に入ってすでに500人以上の子どもを解放し、さらに1000人前後を帰還させる計画。
2月の式典で解放された少年(17歳)は、15年に武装集団に拉致され、無理やり盗みや強姦、殺人をさせられていたが、
「どれもやりたくはなかったが、従わなければ殺されると思った」と語った。
第4位:イラク共和国 3.425 point
現在のイラク問題の始まりは、隣国イランの石油権益をイラン市民が欧米から取り返そうとしたことから始まった。
イラン革命が成功し、イランの政権が完全に欧米から離れることになると、ただちに欧米は隣国イラクに武器支援をして、国境紛争を煽って戦争を誘発。
フセイン政権は、米国の支援を受けてイランのイスラム体制を倒すべく、軍事国家に変えられていった。
両国の石油輸出にとって要所であるシャトル・アラブ川の使用権をめぐる紛争で、イラクは強固な独裁制を確立し、軍備を強大化していった。
1980年9月22日未明、イラク軍が全面攻撃を仕掛け、イランの10箇所の空軍基地を爆撃、イラン軍がそれを迎撃する。
こうして、8年続くイラン・イラク戦争は始まり、双方で140万人が犠牲になった。
撮影:志葉玲
サッダームフセイン
出典:偉大なサダム・フセイン大統領 | 大統領警護隊オフィシャルブログ「バグダッドより愛を込めて」Powered by S
1979年サッダーム・フセインが大統領に就任。
フセイン政権の下、イラン・イラク戦争(1980年9月~1988年8月)・クウェート侵攻(1990年8月)・湾岸戦争(1991年1月~2月)等が行われた。
2003年3月、米国等による対イラク武力行使が開始され、4月にはバグダッドが事実上陥落しフセイン政権は崩壊した。
2005年10月から始まった裁判で、罪状は全部で13件に上っていたが、2006年11月5日、高等裁判はドゥジャイル村事件【1982年7月8日に起きたイラクの元大統領サッダーム・フセインに対する暗殺未遂事で「ドゥジャイル村民143人に不当に死刑判決を下した」】のみで「人道に対する罪」を犯したと認め、死刑判決を出した。12月26日にはフセインの控訴を棄却して、わずか4日後の30日に処刑した。
第5位:ソマリア 3.367 point
1991年にバレ政権が崩壊して以降、ソマリアには中央政府が存在しないため無法地帯となっていたが、2012年にハッサン・シェイク・モハムッド大統領率いる統一政府が成立し、国際社会の支援の下、国家再建への取組みが進められた。
ソマリアには日本の大使館は所在していない(在ケニア日本国大使館がソマリアを兼轄)。
ソマリア海賊(フランス軍兵士と海賊)
ソマリアに面するアデン湾には海賊が横行し、世界中の船がアデン湾を通過する時には緊張し、敢えてケープタウンまで迂回する船もある。
ソマリアの海岸には海賊を相手にしたビジネスや、人質への食事の提供を行う専門の業者もいるほど。多額の身代金によって豪邸を建てて高級車の乗り回す海賊は、ソマリア人の憧れの対象にすらなっている。
モガディシュの戦闘
作戦は国連主導ではなく、米国(当時の大統領:ビル・クリントン)が単独で行ったものであった。
米軍は作戦を30分程度で終わらせる自信があったが、実際には15時間を費やした。
2機のヘリコプターを失い、銃撃戦によって18名の米兵(国連軍兵士1名を入れると19名)を殺害され、「作戦上は成功」であったが、多くの犠牲者を出してしまった。
ブラックホーク・ダウン
実際にソマリアでおこった壮烈な「モガディシュの戦闘」を描いている2001年のアメリカの戦争映画。主演はジョシュ・ハートネット。
貧困・教育・銃社会…
世界各国では、幼い子供たちまでもが兵士にならなくてはいけないような内戦が続き、それこそ何の罪もない一般市民がテロ被害に巻き込まれてしまったりと、悲惨なニュースが後を絶たない。
文化や思想の違いで『人の命の価値観が違う』という現実を思い知らされ、ショックだ。
ジャーナリストや戦場カメラマンの命がけの取材により撮影された生々しい映像。
現実から目を背けてはならないと思うのだが、凝視できない。
わがまま言いたい放題・やりたい放題の自分は、なんて贅沢な生活をしているのだろうと自覚した。しかし、喉元過ぎれば熱さ忘れるではないけれど、数日後にはまたどうしようもない平和ボケな人間に戻ってしまう自分がいる。
ただし、いつも世界の子供たちの平和を願っている自分の気持ちは本物です。