実家の老朽化もあって、母がわが家へ越してきて4年。
越してきたといっても自宅からわが家は目と鼻の先なので、母にとって生活的には何の不便もないと思う。
当たり前の話だが、実家にいる間は母が作ってくれた食事をとっていた。
とりわけ当たり障りのないメニューで、飛び上がるほどの美味しいご馳走もなければ、手を付けられないほどのものもなかったが、結婚して家を出て行くまでの間、ハイカラな食事を作ってもらった覚えはない。
ちなみに自分がハイカラだと思うメニューは、ハンバーグ・ビーフシチュー・ロールキャベツなど、とにかく当時はレストランに行かなくては食べられないような洋食系なやつ。
少しおしゃれな同級生の家庭(幼い頃の自分にとって、大体の家庭はわが家よりもおしゃれという概念)では、手作りハンバーグの上にケチャップとソースを混ぜたものがかかって出てきたらしいが、わが家で出てきたのはイシイのハンバーグやマルシンハンバーグだった。
しかし、好きだったので特に問題はなかったし、今もお弁当のおかずに重宝している。
出典:石井食品株式会社
そんなこんなで、「レストランに行かずとも自宅で美味しいものを食べることはできないか?」という思いから、高校性になった頃から、テレビの料理番組をビデオに録画したり、ノートに覚書をしたりしながら、見よう見まねで料理を作るようになった。
バイトの給料で食材や調理器具を購入し、面白がって料理をしているうちにそれなりのものになってきて満足したのを思い出す。
それが興じて料理に凝るようになり、食事やつまみに関しては、今まで家族から苦情が出たことはない。(ただ、家族が我慢していただけかもしれないが…)
そんな自分だが、旦那が亡くなってからというもの、自分の休日以外のほとんどは、料理を母にまかせっきりになってしまった。
(娘たちが大人になり、家を空ける機会が多くなったという理由もあるが。)
そして作ってもらっている以上は、母の機嫌を損ねてはならないと、よっぽどなことがない限り文句は言わない自分と長女。
料理の味云々には触れないようにしているが、それでも「んっ⁉」と思った時には娘とアイコンタクトをとる。
「硬っ!」
「甘っ!」
「これ何?」
「何で味付けしたのかね?」
言い出したらきりがない。
家族で色々な外食に行く機会も増え、様々なジャンルの料理に出会う母。
孫にも喜んでもらいたいと、見よう見まねで今まで作ったことのない、おしゃれな料理にプチチャレンジしているであろうと思われる母の料理は・・・
出典: ゼルダ ブレスオブザワイルド 感想6話 『コログのミ』 – PS4超ゲーム評価と感想@友達がいない男
微妙であった。
いいのに、普通のご飯を出してくれれば・・・
再び一緒に暮らすようになって、母の料理の手際から様々な発見があった。
油抜きをせずに味噌汁や炒め物に投入される油揚げ。
濡れたフライパンを良く熱さずにサラダ油を投入し、バチバチと飛び散る油にも動じない母。
とりあえず、何にでも麺つゆ。
肉も野菜も同時にフライパンへ。
生焼けは腹を壊すと、どの食材にもよく火を通しすぎる結果、燻製のように硬く、箸が上手く刺さらないほどに仕上がった焼き魚。
体積が半分位になってしまい、胃へ送り込むのにあごが砕けるほど噛み続けなければならない肉。
こういう事だったのか・・・
この年になって、たまに出てくる母のいまいち料理の理由が何となく分かってきた。
まぁ、質素な料理を出してもらっていたから、食べ過ぎで太るようなこともなかったし、それはそれでよかったか。