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【パニック障害・不安神経症】誰にでも起こるかもしれない事。

 

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人物

本来の彼女の人柄は、頼まれたらどんな事でも快く引き受け、熱心に取り組む。

真面目に仕事をこなし、誰にでも優しい。

 

しかし皮肉なことに、その性格が災いして自分の事をおろそかにしてしまい、心身が耐えきれなくなってしまったのだ。

 

職場での異様な行動と、心が崩れていくさまが徐々に見受けられるようになり、周囲の者達もあきらかにおかしいと分かるようになった頃には、かなり深刻な状態だった。

 

元々責任感の強い彼女は、自分にかけられた言葉一つ一つを敏感に受け取ってしまって、常に自責の念にかられていた。

 

病気が発症するきっかけらしきものは、彼女の職場の上司。

誰もが起こしうる程度の小さいミスでさえ、いつまでもしつこく嫌味を言ってくる。

周囲の同僚・後輩たちは軽くあしらっていたが、叱られる耐性があまりなかった彼女は、注意程度の事でもいつまでもひどく気にしてしまっていた。

 

 

 

発症

逃げ場のない空間に置かれることが耐えがたく、いざ車に乗って出社しようとも、乗り始めてしばらくするうちに激しい動悸に襲われ、とてもではないが運転し続けることなど出来なかった。

それは、電車やバスでも同じことだった。

 

ちょっとの体調不良では仕事を休むことなどなかった彼女が、とうとう職場へ行けなくなってしまったのだった。

 

  • 歩こうにも、地に足がついていないというか、酔っている訳でもないのにふわふわしてしまって、自分の足で歩いている感覚がない。

 

  • 突如襲われる頻脈に、このまま心臓発作で死んでしまうのではないかという不安に襲われ、いてもたってもいられなくなる。

 

  • 意識すればするほど、呼吸が上手にできなくなり息苦しく感じてしまう。

 

  • どことは特定できない腹部不快感が数か月間続く。

 

次から次へとおこる、あらゆる体調不良。

自分は不治の病なんだ・・・

彼女は本気で思っていた。

 

 

 

ドクターショッピング 

内科・脳外科・外科・・・

採血・心電図・CT・MRI・脳波・・・

全て異常なし。

 

自分は重病なんだと思い込み、異常なしと診断されても足しげく病院へ通う彼女。

そこの病院で異常がないと言われれば、また違う病院へ・・・

病名が付かない、いつまでたっても治まることのない症状があるという事が、更に彼女を不安にさせた。

 

そしてやっと巡り合えた内科の女医に、

「私の後輩が心療内科やっているから、一度そこへ行ってみたら?」

と勧められ、紹介状を書いてもらう事に。

 

当時、心療内科という診療科が世に知られて間もないくらいの頃だったと思う。

それとも知らないだけだったのか?

 

 

 

診断

まったりとした穏やかな口調の女医さん。

カウンセリングと称して、彼女の家族構成や学歴・職歴・病歴などから、幼いころから現在の生活環境まで、会うたびに幅広く質問された。

 

薬を処方され、一週間に一度、先生の所へ近況報告へ行った。

三回目の診療時、思い切って「自分の病名は何なのですか?」と聞いてみた。

 

そこで初めてパニック障害(不安神経症)と渋々伝えられた。

先生はあまり言いたくなかったらしく、

「何でそんなに渋るんだろう?」

なかば少し怒り気味な医者に不信感が募った。

 

先生としては、そんな細かいことを気にするなと言いたかったらしいが、病名がない症状で困っていた者としては、病名を確定してもらいたかっただけなのだ。

 

 

 

周囲

病気をよく理解していない人達に、

「しっかりしなさい」「気の持ちよう」

なんて軽い感じで言われてしまうと、ここまで散々頑張ってきたのに、

これ以上どうすればよいか分からなくなる。

 

また生半可に同情的な言葉をかけられるのも、あまり気分が良くない。

「そういうことは誰にでもあるよ、分かる」

「すぐ良くなるよ」

なんて、一見気を利かせたような言葉(本気で言ってくれていたとしても)でさえも、ノーマルな脳ではない時に言われてしまえば、

(自分の何を分かっているというのだ?何も知らないくせに)

と腹の中では思ってしまう。

 

 

 

経過

最初の半年は頓服を手放すことが出来なかったが、徐々に穏やかな日々が戻りつつ、発症から二年を過ぎた頃には毎日の薬も飲まずに済むようになった。

 

何はともあれ、一番の理解者は家族だった。

呑気なふりで、付かず離れずの彼女の家族たち。

 

更には自分の気持ちを変化させたらしく、

『少しくらい、まぁいいか』

が今では彼女の信念。

 

現在では、その信念はそろそろ改めた方が良いのではないか?

という外野からの声を無視できるくらい、図太くなってしまっているようである。

 

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