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失語症患者の本心と正しいコミュニケーションのとり方

 

人間の身体、特に脳は神秘的なもので、解明されていない謎が多い。

 

例えば、全身麻酔

 世界で初めて全身麻酔に成功したと言われている、日本人医師:華岡青洲(はなおかせいしゅう)は、1804年(文化元年)10月、60歳の乳がん患者に対する手術に挑み、乳房から癌だけを摘出する手術を見事成功させたが、200年以上経った現在もなお、実は全身麻酔が効く原理は、未だ解明されていない。

意識を司る脳の仕組みが完全に解明されていないため、分かりようがないのだ。

 

 

今回の記事を書くきっかけとなった出来事は、ある患者さん(50代:男性)に対する医療関係者の態度が、まるで小さい子を相手にしているような接し方だったので、久々に不愉快な思いをしたからだ。

その患者さんは脳梗塞の後遺症により失語症になっていまい、思っていることを上手に相手に伝えられないが、意思疎通はほとんどできているにもかかわらず、幼い子を扱うような口を利かれて、『さぞかし悔しい思いをしているのではないか?その態度はないだろう』と、患者さん本人を差し置いて、自分が腹が立ってしまった。

 

当の患者さん本人の心の内を他人の自分には分かり兼ねるが、いずれにせよ、病院もサービス業の一環なのだから、お客さま(患者)には、第一に思いやりを持って接しないといけないのだ。

しかし、情けないことに、こういった態度をとる医療関係者は結構大勢いるという現状なので、自分も失礼がないように気を付けている、

 

 

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脳の機能障害 

 

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高次脳機能障害とは?

交通事故や脳卒中などで脳がダメージを受けると、記憶能力障害・集中力や考える力の障害・行動の異常・言葉の障害が生じること。

 

脳の機能障害の種類と重症度は、脳が受けた損傷の範囲・部位・原因となった病気の進行速度によって決まる。

障害の範囲が広くなるほど、それだけ機能障害も重症になる可能性がある。

しかし、生命維持に欠かせない脳幹などの狭い領域では、小さなダメージであっても、完全に意識が失われて死につながる危険もある。

 

 

失語症とは?

 

失語症

話す、書くなどの言語の表出、そして聴く、読むなどの言語の理解が同時にさまざまの程度に損なわれた状態を、失語症と呼びます。

理解は比較的よく保たれているが、話しことばや書字がおもに損なわれている失語症を運動性失語症(うんどうせいしつごしょう)、理解が損なわれ、話す内容も支離滅裂(しりめつれつ)になるが自分ではその異常に気づかないでいるような状態の失語症を感覚性失語症(かんかくせいしつごしょう)と呼びます。

理解も比較的よく、比較的発話量も多いが、かんじんのことばがなかなか出てこないようなタイプの失語症を健忘性失語症(けんぼうせいしつごしょう)といいます。

もっとも重症の失語症で発話もほとんどなく、理解力もほとんどなくなっている失語症は全失語症(ぜんしつごしょう)と呼ばれます。

失語症(しつごしょう)とは - コトバンク

  

失語症になった直後は強い疎外感を感じてしまうという

すぐそばに親しい人がいても意思疎通が出来ず、自分だけ世界から隔離されてしまったように思い、ついこの間まで普通に暮らしていた自分が、にわかに壊れてしまう。

しばらくは 自分の状況を把握し、それを受け入れるまでの時間が必要で、その間には苛立ちや恐怖に支配されてしまう。

 

簡潔な文章を使いゆっくり話しかける

「トナリノキャクハヨクカキクウキャクダ」

カタカナで書かれた文章は、健常者でも内容を理解するのに多少時間がかかる。

ましてや、失語症患者は即座に内容を理解し返答をすることができない。

リハビリのためにと周囲が焦り、たくさんの内容を伝えたところで、当の本人は混乱するだけで理解ができない。

よって、簡潔な言葉で話しかけることが大事である。

 

決して幼児退行した人間として接してはいけない

 

幼児退行とは?

精神的にその人の人格や知性が、普段の歳相応の状態に比べて、子供のような幼い未発達状態に変わってしまう。

 

これは、患者さんに接する人が一番注意しなくてはいけない事。

失語症に陥ると発言がたどたどしくなり、 介護者はついつい幼児をあやすような接し方をしてしまいがちだが、患者さんの感情やプライドは数十年生き抜いてきた大人のまま。

決して幼児退行したわけではないので、接する際にはもちろん今まで通り大人の方と同等に。

 

大きな声で話しかける必要はない 

脳疾患の後遺症として、声が小さくなったり出づらくなったりする運動障害もあるが、決して耳が聞こえづらくなったのではない。

聞こえてはいるのだが、それを理解できなかったり、理解に時間がかかってしまうから、一見聞こえていないような素振りに見受けられるが、実はきちんと聞こえている。

だから、ゆっくり話すのは良いことだが、大きな声で耳元で話されても、健常者同様うるさく感じてしまうので注意。

 

外国語を話されているような感覚

いきなり不得意な外国語で話しかけられ、『なんで分からないの?』と言われているようなもので、それを繰り返されれば誰でも不快な思いをするはず。

だから失語症の方には、外国人に話かけるように、 分かりやすい単語を使って簡潔にゆっくりと話すことが一番。

そして、焦らせることのないように、ゆっくりと考えてもらうことが大事。

 

自分の場合

 

旦那が大腸癌で闘病中に、脳にも癌が飛んでしまい手術した際に、構音障害になってしまった。

失語症も若干あったとは思うが。

 

構音障害とは?

正しい言葉を選択し話せるものの、口や舌といった発声発語器官を上手に動かすことが出来なくなって声が出にくかったり、呂律が回らず正しい発音が出来なくなる言語障害。

 

思い起こすと、滅多なことでは怒らない旦那が、少し会話が不便になった際、特定の人(看護師や看護助手)が病室にくると、少し怪訝そうな表情になったのを覚えている。

自分は旦那がそんな顔をするのは珍しいなと不思議に思っていたのだが、思うように動かせない身体と、仕事ができない辛さみたいなもので苛立っているのだろうと勝手に解釈していたが、そればかりではなかったようだ。

そういえば、頭のオペをしたというだけで、ほとんどの事は理解できていないのだろうと勘違いしている態度をとられたり、明らかに年下の看護師に友達口調というか、それ以下で話しかけられたりと、思い当たる点が多々あった。

 

当時は医師から、「読み書きや会話が不便になるだろう」という説明だけを鵜呑みにし、ただ必死にどうにか治らないものかとあたふたしていただけで、何故だか自分で調べるということをほとんどしていなかったため、高次脳機能障害とやらはほとんど理解できていなかった。

表向きは何食わぬ顔をしていたが、内心は冷静さが微塵もなかったし、真実を知りたくなかったのだと思う。

 

皮肉なことに、旦那が亡くなってから五年経とうとしている今更になって、真剣に調べだしたというのだから、これでは旦那も浮かばれないだろう。

 

後悔先に立たずだが、旦那の歯がゆかった気持ちを少しだけでも理解できたと思うから、良しとしてもらえないかな?

 

とにかく、

どんな病気にかかろうと、どんな障害をかかえてしまったとしても、人は人。

これからの人生も、今までと何一つ変わることなく、人格は尊重されるのである。

 

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